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1. 要件定義書

  • 目的・背景: アプリ開発の目的や企業が抱える課題を明記
  • 機能要件: どのような機能をアプリに実装するのか(例:ユーザー管理、通知機能、データ集計など)
  • 非機能要件: パフォーマンス、可用性、セキュリティ要件など
  • プラットフォーム: アプリの対象となるOSやプラットフォーム(iOS, Android, Webなど)
  • UI/UX要件: ユーザーインターフェースと体験に関する要件
  • スケジュール: 開発のスケジュールや納期
  • 予算: 予算範囲や支払いスケジュール

要件定義書のベストプラクティス

要件定義書は、開発するアプリの機能や仕様を明確にし、開発チームとクライアント間で共通認識を持つために重要なドキュメントです。
以下のポイントを押さえることで、より効果的な要件定義書を作成できます。

✅ 概要

  1. 目的と背景を明確にする

    • アプリ開発の目的を簡潔に記述し、ビジネス上の課題や期待する成果を明確にする。
    • 例: 「業務の効率化を目的とし、紙ベースの管理をアプリでデジタル化する」
  2. 関係者(ステークホルダー)を整理する

    • プロジェクトに関わるメンバー(クライアント、開発チーム、運用担当など)を明示し、それぞれの役割を定義。
  3. 機能要件と非機能要件を分けて記述する

    • 機能要件: アプリに必要な機能(ログイン、検索、通知など)
    • 非機能要件: 性能、セキュリティ、拡張性、可用性などの技術的な要件
  4. ユーザーストーリーやユースケースを用いる

    • 実際の利用シナリオを示すことで、要件を具体的に伝える。
    • 例: 「ユーザーがアプリにログインし、注文履歴を閲覧できる」
  5. 優先順位を明確にする

    • 各機能の優先度(MVPで必要か、後で追加可能か)を定める。
    • MoSCoW法(Must, Should, Could, Won't)などの手法を活用。
  6. 制約条件や前提を明記する

    • 開発期間、予算、使用技術(Flutter, AWSなど)、外部APIとの連携など。
  7. 受け入れ基準を定義する

    • 「この要件が満たされているかどうか」を判断するための基準を設定する。
    • 例: 「ログイン機能は3秒以内に認証を完了すること」
  8. 視覚的な資料を活用する

    • ワイヤーフレームやフローチャートを使い、視覚的に分かりやすく説明する。
  9. 変更管理のプロセスを明確にする

    • 要件の変更が発生した場合のルール(例: 変更要望は文書化し、関係者全員の承認を得る)
  10. 合意を得たら署名・記録する

    • クライアントと開発チームが合意したことを明確にし、トラブルを防ぐ。

📄 要件定義書例 1

ショベルカーが盛り土を把握し、トラックに自動で土を積み込むプロジェクトの要件定義を作成します。
このプロジェクトは、**環境認識(LiDAR・カメラ)、制御(PID・逆運動学)、アルゴリズム(自動掘削・積み込み)**を含むため、要件定義の整理が重要になります。


プロジェクト名: ショベルカー自動積み込みシステム

作成日: 2025年2月20日
作成者: 〇〇株式会社 自律制御開発部
承認者: クライアント担当者 〇〇


1. プロジェクト概要

1.1 目的

  • 現場作業の効率化を目的とし、ショベルカーが自動で盛り土を検出し、トラックに積み込むシステムを開発する。
  • 作業の自動化により、作業者不足の解消、積載精度の向上、安全性の向上を実現する。

1.2 背景

  • 建設現場では、熟練オペレーターがショベルカーを操作し、トラックに土を積み込んでいる。
  • 労働力不足やオペレーターの熟練度による作業効率のばらつきが問題となっている。
  • 自動積み込みシステムを導入することで、無人化・半自動化を実現し、作業の安定化を図る。

1.3 期待される成果

  • 自動で土を掘削し、トラックに積み込む機能の実装
  • センサー(LiDAR・カメラ)を用いた地形認識
  • 作業精度向上(積載位置・量の最適化)
  • 安全機構(障害物検知・衝突回避)

2. 関係者

役割名前連絡先
クライアント〇〇建設xx@example.com
PM〇〇yy@example.com
制御開発〇〇zz@example.com
画像認識担当〇〇aa@example.com
ロボット開発〇〇bb@example.com

3. 機能要件

3.1 主な機能

ID機能名詳細
F-01地形認識LiDAR / カメラを用いて、盛り土の形状・位置を認識
F-02掘削計画生成盛り土の形状から、最適な掘削経路を計算
F-03掘削動作制御ショベルカーのバケットの軌道を計算し、土をすくう
F-04積み込み計画トラックの位置を認識し、積み込みポイントを決定
F-05積み込み動作制御土のこぼれを抑えながら積載量を均等に配置
F-06障害物検知人・車両・障害物をカメラ/LiDARで検出し、回避
F-07手動操作切替オペレーターが手動で操作できるモードの実装

4. 非機能要件

カテゴリ要件
パフォーマンス1回の積み込み動作を30秒以内で完了する
精度積載位置の誤差を**±10cm以内**に収める
セキュリティ外部からの制御信号ハッキング対策
可用性24時間稼働可能(耐環境性: 雨天・粉塵対応)

5. ユースケース

📌 シナリオ1: 自動積み込みの流れ

  1. ショベルカーが作業エリアに到着
  2. LiDAR / カメラで盛り土をスキャンし、地形データを作成
  3. 掘削計画アルゴリズムが、最適な掘削ポイントを決定
  4. ショベルが土を掘削し、バケットに保持
  5. トラックの位置を認識し、最適な積載位置を決定
  6. 土をこぼさないように積み込み動作を実行
  7. 積み込み完了後、次の作業地点へ移動

📌 シナリオ2: 障害物検知と回避

  1. 掘削中に作業員が近づく
  2. LiDAR / カメラが人の存在を検知
  3. 掘削動作を一時停止し、警告を発する
  4. 安全が確認されるまで動作を再開しない

6. 受け入れ基準

ID機能名受け入れ基準
F-01地形認識盛り土の高さ・位置を誤差 ±10cm 以内で認識できる
F-02掘削計画盛り土の形状に応じた最適な掘削経路が計算される
F-05積み込み1回の積載で平均90%以上の土を適切に積み込める
F-06障害物検知人・車両が接近した場合、掘削動作を停止する

7. 制約事項

  • ハードウェア

    • LiDAR: Velodyne Puck / Ouster OS1
    • カメラ: Intel RealSense D455
    • 制御コンピュータ: NVIDIA Jetson AGX Orin
    • ショベルカー: CAT 320(改造機)
  • ソフトウェア

    • 制御: ROS2 (Robot Operating System)
    • 画像認識: YOLOv8 / OpenCV
    • シミュレーション: Unity / Unreal Engine

8. 開発スケジュール

フェーズ期間内容
要件定義2025/2/20 - 2025/3/10要件定義の作成と合意
設計2025/3/11 - 2025/4/01ハード・ソフト設計
開発2025/4/02 - 2025/7/31システム実装
テスト2025/8/01 - 2025/9/30実機テスト・チューニング
リリース2025/10/01本番運用開始

まとめ

  • LiDAR・カメラを用いた地形認識と掘削計画
  • 積み込み精度向上と安全機構の導入
  • 手動・自動切替可能なショベルカー制御
  • 実機テストとシミュレーションによる精度向上

これで要件定義書の骨格が完成します。必要に応じて追加・修正してください。


📄 要件定義書例 2

プロジェクト名: 企業向け社内掲示板アプリ

作成日: 2025年2月20日
作成者: 〇〇株式会社 システム開発部
承認者: クライアント担当者 〇〇


1. プロジェクト概要

  • 目的: 社内情報の共有を円滑にするため、スマホおよびPCで利用できる掲示板アプリを開発する。
  • 背景: 現在、社内通達はメールで送信されているが、情報の見落としが多い。リアルタイムで確認できるシステムが求められている。

2. 関係者

役割名前連絡先
クライアント〇〇部長xx@example.com
開発マネージャー〇〇yy@example.com
UIデザイナー〇〇zz@example.com
QAテスター〇〇aa@example.com

3. 機能要件

ID機能名概要
F-01ユーザー登録管理者が社員のアカウントを作成できる
F-02ログイン機能社員がメールとパスワードでログイン
F-03掲示板投稿管理者が新しいお知らせを投稿できる
F-04コメント機能社員が投稿にコメントをつけられる
F-05プッシュ通知新規投稿時に通知を送信する

4. 非機能要件

要件カテゴリ詳細
パフォーマンス1,000人の同時アクセスを処理可能
セキュリティJWT認証を使用し、不正アクセスを防止
可用性稼働率 99.9% 以上を保証
対応デバイスiOS / Android / Web

5. ユーザーストーリー

📌 シナリオ1: 社員が掲示板の投稿を確認する

  1. 社員はアプリを開く
  2. ホーム画面に最新の投稿一覧が表示される
  3. 投稿をクリックすると、詳細が表示される

📌 シナリオ2: 管理者が新しい投稿を作成する

  1. 管理者はログイン後、投稿作成ボタンを押す
  2. タイトルと本文を入力し、「投稿」ボタンを押す
  3. 掲示板に投稿が反映され、社員に通知が届く

6. 受け入れ基準

ID機能名受け入れ基準
F-01ユーザー登録管理者が新規ユーザーを追加できる
F-02ログイン機能正しいメールとパスワードでログイン成功
F-03掲示板投稿投稿が正しく保存され、表示される

7. 制約事項

  • 開発言語: Flutter(iOS / Android 両対応)
  • データベース: Firebase Firestore
  • API: REST API(バックエンド: AWS Lambda)

8. 開発スケジュール

フェーズ期間内容
要件定義2025/2/20 - 2025/3/10要件定義の作成と合意
設計2025/3/11 - 2025/4/01UIデザイン・システム設計
開発2025/4/02 - 2025/6/30アプリ実装
テスト2025/7/01 - 2025/7/31バグ修正・最終調整
リリース2025/8/01本番環境へ公開

まとめ

  • 目的背景を明確にする
  • 機能要件非機能要件を分ける
  • ユーザーストーリーで具体的な利用シナリオを示す
  • 受け入れ基準を定義して品質を確保
  • スケジュール制約条件を明確にする

こうした構成で要件定義書を作成すれば、開発チームとクライアントがスムーズに進められます。