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UnityのShader Graphの仕組みは、視覚的なノードベースのインターフェースを使ってシェーダを設計できるツールです。以下にその仕組みや背後での動作を詳しく説明します。


1. Shader Graphの基本構造

Shader Graphでは、シェーダの挙動をノードで定義し、それをグラフとして結びつけていきます。これにより、複雑な数式やコードを書くことなくシェーダを作成できます。

  • ノード (Node): 各ノードは特定の機能(例: 加算、乗算、テクスチャサンプルなど)を持つミニプログラムです。
  • ポート (Port): ノードには入力ポートと出力ポートがあり、それぞれを接続してデータを渡します。
  • グラフ (Graph): これらのノードを接続してグラフを構成します。

2. Shader Graphで保存されるデータ

Shader Graphファイルは通常、.shadergraphという形式で保存されます。このファイルの中身は、JSON形式で記述されており、以下の内容が含まれます:

  • ノード情報: 各ノードの種類、位置、プロパティ(例: 定数値やテクスチャの参照など)。
  • 接続情報: ノード間の接続状態。
  • 入力/出力設定: マテリアルプロパティ(例: カラー、テクスチャ)や出力ターゲット(例: ピクセルシェーダの出力)。

3. Shader Graphからシェーダコードへの生成プロセス

Unityでは、Shader Graphで作成したグラフをもとに内部的にHLSL(High-Level Shader Language)のコードを生成します。その仕組みは以下のように動作します:

  1. ノードの翻訳:

    • 各ノードは事前に定義されたHLSLスニペットに対応しています。
    • 例: 加算ノード → result = input1 + input2;
  2. ノードの接続処理:

    • ノード間の接続情報を解析し、計算の順序を決定します(依存関係に基づく)。
  3. コードの統合:

    • 全てのノードを連結し、頂点シェーダやピクセルシェーダのコードを構築します。
    • 結果として、Unity標準のシェーダ形式に基づいた.shaderファイルが生成されます。
  4. プラットフォームごとの最適化:

    • Unityはビルド時にプラットフォーム(例: DirectX、Vulkan、Metal)に応じてHLSLコードを適切な形式に変換します(SPIR-VやGLSLなど)。

4. 生成されるシェーダコードの例

Shader Graphから生成されるシェーダコードは非常に冗長で、以下のような形式です:

Shader "Shader Graph Example"
{
Properties
{
_Color ("Color", Color) = (1,1,1,1)
_MainTex ("Texture", 2D) = "white" {}
}
SubShader
{
Pass
{
HLSLPROGRAM
#pragma vertex vert
#pragma fragment frag

// 頂点シェーダ
void vert(...) { ... }

// ピクセルシェーダ
void frag(...) {
float4 color = _Color;
float4 texColor = tex2D(_MainTex, uv);
return color * texColor;
}
ENDHLSL
}
}
}

5. 内部的な仕組み(ノードからコードへの変換)

UnityのShader Graphは、**ノードごとの「コードテンプレート」**を持っています。

  • ノードデータベース:

    • 各ノードは、特定のHLSLコードテンプレートにマッピングされています。
    • 例: AddNodereturn A + B;
  • グラフ解析エンジン:

    • ノード間の接続を解析して、計算の順序を最適化します(グラフのトポロジカルソート)。
    • 入力ポート → 出力ポートの順にコードを生成。
  • テンプレート統合:

    • 個々のノードのテンプレートコードを統合し、シェーダの構造(頂点シェーダ、ピクセルシェーダなど)に埋め込みます。

6. 利点と制約

利点:

  • 視覚的デザイン: コーディング不要でシェーダを作成可能。
  • 動的な再計算: ノードの接続を変えるだけで簡単にシェーダを更新可能。
  • クロスプラットフォーム: プラットフォームごとの最適化が自動的に行われる。

制約:

  • 冗長なコード: 自動生成されたコードは非効率な場合があり、手書きのシェーダほど最適化されていない。
  • 複雑なシェーダ: 極端に複雑なシェーダには向かない(パフォーマンスや管理の問題)。

7. さらに掘り下げたい場合

もし詳細なコード生成プロセスを追いたい場合、Unityのシェーダ生成後の.shaderファイルをエディタで開いて解析するか、Shader Graphの内部構造をUnityのドキュメントやコミュニティで調べると良いでしょう。